前のページでは、精神的なストレスがうつ病につながることがある、と書きました。このページでご紹介する認知のゆがみも、精神的なストレスを発生させる原因のひとつといわれています。
認知のゆがみとは簡単にいうと、合理的な思考ができないということです。これがストレスを発生させることになります。
たとえば、責任感が強く、仕事を完璧にこなさないと気がすまない人は、忙しい時でも新しい仕事の依頼を断ることができません。これがストレスの発生につながります。また、役職がついている人の中には、部下の仕事ぶりを毎日細かくチェックしないと気がすまない、という人もいます。これもストレスの発生につながります。これらは、まじめで几帳面な性格の人に多いようです。
また、大きな声の人と会話していると叱られているように感じる、会話中に相手が笑うと自分が馬鹿にされたのではないかと思ってしまう、というような場合も、認知のゆがみといえるでしょう。
このように、個人の物の見方や感じ方の傾向として、自身に大きなストレスをかけてしまう場合があるのです。そしてそれがうつ病発症の原因になることがあります。
ストレスを発生させる大きな原因となりうる認知のゆがみですが、これは私の経験からいうと、ある程度自分で改善させることができます。
私たちそれぞれが持っている物の見方や感じ方というのは、慢性的に繰り返すことで定着した思考です。悲観的な思考を繰り返していると、認知のゆがみにつながってしまうことがあります。逆に、悲観的な考えが頭をよぎるたびに、意識的に楽観的な思考を繰り返すことによって、認知のゆがみを改善していくことができます。
たとえば、会話中に相手が笑うと自分が馬鹿にされたのではないかと思ってしまうという人は、相手は楽しいから笑っているのだ、と意識的に考えることを繰り返すことで、感じ方を改善していくことができます。
しかし、この方法は、一回行っただけで劇的な効果が出るわけではありません。こつこつと根気強く続けていくことで変化させていくことができます。
家族の死や失恋といった、突発的なストレス要因は防ぐことができませんが、認知のゆがみによるストレス発生は、物の見方の改善によりある程度は防げるようになるかもしれません。